Sister Act (天使にラブソングを…)
殺人事件の現場を目撃したしがないクラブ歌手が、匿われた修道院で巻き起こす騒動を描いたコメディー。アメリカでは6ヶ月を記録する大ヒットとなり、主演のウーピー・ゴールドバーグの人気を不動のものにした。
出典:ウィキペディア “天使にラブソングを…”
あらすじ
ネバダ州リノのカジノで働いていたクラブ歌手のデロリス(ウーピー・ゴールドバーグ)は、愛人のギャング、ヴィンスが部下を殺している現場を目撃し、そのために命をねらわれてしまう。警察に駆け込んだ彼女は、ヴィンスの裁判の日までサンフランシスコの治安の良くないエリアにあるカソリック系の聖キャサリン修道院に匿われる事になる。
デロリスは”シスター・メアリー・クラーレンス”という名前を与えられ、音楽のバックグラウンドがある事からかなり悲惨な状態の聖歌隊を任されるのだが、ロックとゴスペルのヒュージョンのような味付けの聖歌隊に仕上げてしまう。。。
出典:映画って面白いですね「天使にラブソングを 1&2 Sister Act 1,2」
迫力の歌唱シーン
当然ながら「天使にラブソングを…」で度々登場するのがシスター達による讃美歌の合唱シーン。動画でチェック!
『天使にラブソングを』より劇中歌『Hail Holy Queen』
もともとラテン語で作られ た♪Salve Reginaという聖歌。その英語バージョンが映画「天使にラブソングを1」の名アレンジで、いっきにブレイク。
出典:Gospel Soup ~小耳にゴスペル~ ゴスペルブログ Hail Holy Queen(その1)歌詞・訳
Sister Act- I Will Follow Him
I will follow him(彼についていくわ)の「彼」を大文字のHimとして「神」として歌うのだが、普通に聴くぶんには、これはキュートなラブソング
元はフランス人の作曲家が「chariot」として発表した曲で、それにアメリカ人のNorman Gimbel (♪Killing me softlyの作詞者でもある)が、I will follow himという歌詞をつけヒット
出典:Gospel Soup ~小耳にゴスペル~ ゴスペルブログ I will follow himのルーツ探検
ゴスペル文化とは
この「天使にラブソングを…」が大ヒットを記録してから日本でもゴスペルというものが広く浸透し、今では各地にゴスペルサークルが存在します。とは言え、この映画はあくまでエンターテイメント。そこで描かれるゴスペル文化は必ずしも正確ではありません。
そもそもゴスペルとは?
ゴスペル(Gospel)とは、God Spell → Good Spell(良い知らせ)が変化した言葉だと言われ、日本語では、福音(=良い知らせ)と訳されます。
出典:ゴスペル – ゴスペルとは
讃美歌との違い
賛美歌 : ヨーロッパのプロテスタントの宗教歌
ゴスペル: アメリカで生まれたプロテスタントの宗教歌
出典:ゴスペルと賛美歌の違いを調べてみた
賛美歌とはキリスト教において、礼拝や集会などで歌われる、神をたたえる歌のことです。一方、ゴスペル(ミュージック)は、こうした賛美歌とアフリカ特有のリズムや音楽的感性が融合して、現在の基礎が形作られたと言われています。Amaging Graceなどは「賛美歌→ゴスペル」の代表的な歌です。
ゴスペルの分類
映画に出てきたスタイルのゴスペル、つまり、ブラックゴスペルのクワイヤという形のものだけがゴスペルと認知され、それ以外のものは現在でもあまり知られていないよう
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
ブラックゴスペル
ブラックゴスペルは、存知の通り、アメリカ南部に奴隷として連れて来られたアフリカの黒人たちが、自由を奪われ、自分たちの文化である太鼓と踊りを封じられ、人間の尊厳をとことんまで踏みにじられたことに始まります。
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
「ニグロ(ブラック)スピリチュアル」
白人の教会からさえ閉め出されていた彼らは、自分たちだけで集まって祈りました。独自ののスタイルで賛美歌を歌い、それには飽き足らず、アフリカ音楽の特徴である「コールアンドレスポンス」とくどいほどの繰り返しを使った自分たちの賛美の歌をつくりあげ、口伝で広めていきました。
自分たちの目の高さで自分たちのやり方で神を賛美するのです。自由への憧れを歌った歌が多いのは、彼らの境遇を思えば当然でしょう。ニグロスピリチュアルは、宗教音楽であり、民族音楽であるのですが、キリスト教とアフリカのリズムに加えて当時の彼らの特殊な境遇が深く影響している音楽なのです。
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
ブラックゴスペルの進化
黒人が生み出した世俗音楽であるジャズ、ブルースの音やリズムを用いる
現在のブラックゴスペルは、歌詞を聴かなければ、ソウルやR&Bと区別がつきません。
ブラックゴスペルが教会から世間に出たきっかけは、エドウィン・ホーキンス・シンガーズの”OH, HAPPY DAY”
一般向けのラジオで流れ、話題になったのです。これをきっかけにブラックゴスペルはラジオ、教会外のステージ、レコードなどで世に知られるように
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
天使にラブソングを2~オーハッピーディ(Oh Happy Day)
続編「天使にラブソングを2」より。
サザンゴスペル
あえて「ブラックゴスペル」という言い方をしてきましたが、それは「ブラックでない」ゴスペルがあるから
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
「サザン=南部」
南部といえば、南北戦争の昔、奴隷制に賛成の立場を取ってきていた農業地帯です。
田舎の白人だけの教会、白人だけのコミュニティで発展してきた音楽が「(サザン)カントリーゴスペル」です。
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
ブラックゴスペルとは相いれない存在
白人教会は黒人を閉め出した上で成立し、そしてその結果、黒人独自のキリスト教文化(当然ブラックスピリチュアル/ゴスペルを含む)が生まれた
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
曲の様式
多くはカントリーミュージックです。ロックもあります。メタルもあります。こちらも歌詞を聴かなければ、カントリーやメタルです。
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
Top20 Christian Songs 2011
コメント欄に「AMEN」と書かれているからそうなのかという感じですが、本当にこの動画見るだけだとロックですよね。
日本に広がるゴスペル文化
このシリーズの2本の映画は、ろくろく歌えない人達が素晴らしく歌えるようになるという筋立てであるせいか、「私もあんな風に歌ってみたい!」という観客の願いに火をつける役割を果たしたようなのです。そのため、この映画がきっかけとなり、ゴスペルは日本国内で広く認知され、演奏人口が爆発的に増え、日本語解説付きの楽譜もたくさん出版されました。
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
音楽としてゴスペルを歌い始めた人が、それを機にクリスチャンになるというケースも増えててきているという、通常とは逆のルートでの広まり方をしているのが日本のゴスペル音楽
出典:OUR WAYのおまけ2 ゴスペルって?
クリスマスの1週間後に神社へお参りする日本らしい広まり方ですね。でも、
歌は自由(Songs are free) 。同じ言葉でも、歌う人が違えば意味が違う。歌は、歌った人の込めたとおりの意味になる
出典:ゴスペルスクエア「ゴスペルとは?」
わけで、別にクリスチャンしか歌ってはいけないものでもありません。だから、
クリスチャンではない日本人が感動の涙を流しながら歌っているゴスペルは、これまでのアメリカにはない、更に新しい意味を持ったゴスペルかもしれません。でも、それでもいいと思います。私たちの新しい文化を、私たちの手で創っていけばよいのではないでしょうか。
出典:ゴスペルスクエア「ゴスペルとは?」
おまけ
Sister Act- I Will Follow Him
この動画の2:20くらいから見事なソロを歌い上げるシスターマリア・ロバート役を演じているウェンディ・マッケナ。実は、
残念ながらアンドレア・ロビンソンが歌声をふきかえているんだそうです。
出典:King Fisher Girl「天使にラブソングを【映画】」
この人がアンドレア・ロビンソン。
代表作は『天使にラブソングを』のシスター・メアリー・ロバート(ウェンディ・マッケナ)の歌声。アニメーションでは『リトル・マーメイドIII はじまりの物語』のアテナ女王(ローレライ・ヒル・バターズ)の歌声を担当
出典:ウィキペディア「アンドレア・ロビンソン」
こちらの動画もアンドレアさんが歌っているよう。
日本のゴスペル文化の影の立役者ですね。