近年、ソウル・Hip Hop~ジャズ界隈を取り扱う様々なメディアで、音楽界における「ドラマーブーム」についての言及が相次いでいます。
様々な一流アーティストの作品に加わり刺激的かつクリエイティヴなプレイで楽曲を彩る一方で、時には自ら作品の主役として舞台の中央に立つ圧倒的な実力を備えた個性豊かなドラマーたち。
そんな中から今回は、この一連のムーヴメントのきっかけを作ったキーマンと言っても過言ではない鬼才ドラマー・Chris Daveに焦点を当て、90年代から現在に至るまで第一線で活躍し続ける彼の素晴らしいプレイと、他を寄せ付けないその天才的なドラミングが彩ってきた各時代を象徴する音楽を時代ごとにチェックしていきたいと思います。
ということで、年明け1月に控えたChris Dave and the Drumhedz来日公演記念!
題して『【1月に来日決定】鬼才・クリス・デイヴの超絶ドラム徹底解剖SP』!
それでは早速参りましょう!
まずはざっくりとプロフィールから。
1973年生まれ、テキサス州ヒューストン出身のドラマー。幼い頃からゴスペル音楽に触れ、父の影響でジャズを聴き始める。
高校でパフォーミング&ヴィジュアル・アーツを学びドラムに開眼。
大学進学先のワシントンでTerry Lewis&Jimmy Jamに出会い、90年代の終わり頃からR&Bバンド・Mint Conditionで本格的にプロとして活動を始める。
ジャズ~Hip Hopの枠に留まらない独自のグルーヴやセッティングに高い人気を誇り、D’AngeloやMaxwellらのバンドをはじめ数々のサポートや録音に参加。
近年ではRobert GlasperのバンドやAdeleのグラミー受賞アルバム『21』への参加で話題に。
…と、これだけ見ても実に錚々たる面々と共演し、信頼を寄せられてきた人物であることがうかがえますね。
さてここからは彼が実際に参加した数多くの作品の中から、SOUL iNDEXが厳選した名演をご紹介していきます。
ミュージック・シーンのうねりに大きな影響を及ぼしてきた彼の輝かしい軌跡。
見ごたえ抜群です。
with Mint Condition
まずは凄腕ドラマー・Stokley Williams率いるMint Conditionでのプレイをチェック!
前述の通り、Chrisにとってはこのバンドへの加入が本格的なプロとしての最初の仕事となりました。
後になって「ネオソウル創世記」と呼ばれるようになるこの時代に、それまでのR&Bの枠組みから抜け出して新たな次元を切り拓こうと常にチャレンジを続けたメンバーたちにとって、超人的技術とぶっとんだ感性を持ったChrisの存在はとてつもなく大きなものであったことは言うまでもありません。
with Me’Shell Ndegeocello
お次はネオソウル界随一のベーシストでありヴォーカリストのMe’Shell Ndegeocelloとの白熱したセッションの様子です。
セッションのテーマはHerbie Hancockの”Butterfly“。
このイカつい長髪ドレッドのお兄さんがChrisですね。
いやー、なんでしょう、凄すぎて恐怖すら感じるんですが。(笑)
皆めっちゃめちゃかっこいいですな。。。
with Adele
続いては第54回グラミー賞で主要3部門を独占し、最多6部門受賞という快挙を成し遂げたUKのシンガーソングライター・Adeleの2ndアルバム『21』から。
Chris Daveというと超絶テクニックを備えた宇宙人、みたいなイメージを持っている人も多いんじゃないかと思いますが、こういうザ・歌モノでプレイする彼のドラムを聴くとまた違った一面を感じられるんじゃないかと思います。
タイトでストイックなサウンドはまさにChrisそのものなんですが、一方でそういったアプローチを保ちながらもAdeleの歌声にしっかりと寄り添い柔らかなグル―ヴを生み出していく様子は職人そのもの。
天才・鬼才と言われることが多いChrisですが、実はその場その場で自分の役割を適切に見極め表現する柔軟性を持った非常に知的なドラマーでもあるんですよね。
with Robert Glasper
続いては現行のジャズ・シーンにおけるキーマンと言われるピアニスト・Robert Glasperとの共演作『Double-Booked』から。
Glasperのグラミー受賞アルバム『Black Radio』にもRobert Glasper Experiment名義で参加しているChrisですが、このアルバムはその前作にあたるもので、前半がRobert Glasper Trio、後半がExperiment名義での楽曲をそれぞれ収録したものとなっています。
後半はいかにも『Black Radio』!な、ジャズとR&B、Hip Hopなど様々な要素が巧みに融け合った楽曲が続くのですが、一方でTrio名義の前半はいわゆる現代の正統派ジャズ。
そう、この人こういうのもちゃんと叩けるんですよねぇ……。(何様)
with D’Angelo
というわけでD’Angeloの最新作『Black Messiah』に収録された”Sugah Daddy“をお聴きください。
これ割とドラムがメインで撮られているので、彼のドラミングを細かく確認するには持ってこいかも。
まー見たところで何してるかなんて素人にはさっぱりちっともわからんわけですが…(笑)
そして最近のChrisの定番アイテム(笑)、りんごの皮を剥いたようなシンバルもばっちり確認できますね。
(これ収納ってどうしてるんだろうな。しゅるしゅるーっと畳むのかしら。)
15年の沈黙を破りファンの前に戻ってきたD’Angelo、世界を熱狂させた彼の復活作にクレジットされた“Drum: Chris Dave”の文字を見て大きく頷いたのは筆者だけではないはずです。
おまけ
最後にご紹介する「おまけ」は、ドラムをプレイするChris Daveの目線が楽しめるこちらです。
後半はカメラが切り替わりドラムセットの正面から撮影されたものが使われていますが、それにしても近い!!臨場感ありますね~!
こうして改めて見ると、本当に全身どこにも無駄な力が一切入ってないんだなぁと驚くばかり。
滑らかで鋭いスティック捌きと完璧なグルーヴをこの動画でぜひ”体感”してみてください。
これを観れば、あなたも気分はChris Dave!!!(?)
さていかがだったでしょうか?
Chrisをはじめとする現在活躍中のドラマーたちが果敢に切り拓く音楽の未来に期待を込めつつ…本日はここまで!
気になった方はぜひとも年始の来日公演に足を運んでみてくださいね!
彼の超人的プレイを生で体感できる貴重なチャンスを、どうぞお見逃しなく。
■ライブ詳細■
Chris Dave and the Drumhedz来日公演2016.1.25(Mon.) – 1.26(Tue.)@ビルボードライブ東京
http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=9775&shop=1
ということでSOUL iNDEX、また次回~!