長い間第一線で活躍するアーティストたちの中には、時折本来のアーティスト名とは異なる「別名義」で活動をする人がいます。
わざわざ名前を変えてまで彼らが表現しようとしていることとは一体何なのでしょうか?
今回のSOUL iNDEXでは彼らの本来の名義での活動と比較しながら、「別名義」の裏に隠された秘密に迫ってみたいと思います。
それでは早速参りましょう~!
The Hustle – 「Hustle」
ハイ!
誰ぞ!!!
ということでね。
映像でピンときたという方も少なくないかと思いますが、この人の正体はそう、日本でも熱い人気を誇るR&Bシンガー・Musiq Soulchildです。
Musiq Soulchildが昨年からスタートさせているThe Hutle名義での音楽活動、そもそもは「Musiq Soulchild」という名前が法的な問題により使用できないという背景がきっかけになったのだそう。
ボイスを音声補正ソフトのオートチューンで全編に渡って加工したり、Hip Hop系のビートに歌とラップを取り合わせたようなヴォーカルを乗せてみたりと、その活動においてMusiq Soulchildの作風とは明確に異なるスタイルを取るThe Hustle。
このサウンドについて彼自身は「南部カルチャーへの誠実なオマージュ作品」であると捉えているそうです。
法的な問題云々などとは言いつつ今年2月にはMusiq Soulchildとして来日公演も行っていますし、今後はどちらも並行して活動していくことになるのかな…?
今後の展開に期待です。
Tuxedo – 「So Good」
続いてご紹介するのは、8月の来日公演&サマソニ出場も決定しています、Tuxedo!
新世代ブルー・アイド・ソウルの旗手として知られるシンガー・ソングライター・Mayer Hawthorneが自身のソロの活動と並行して今年から本格始動させているのが、敏腕プロデューサー・Jake Oneとのユニット・Tuxedoです。
二人はこのプロジェクトを通して、どこか懐かしい、ディスコ~ファンク色の強い、グルーヴィーで爽快なサウンドを聴かせてくれます。
ソロ活動時と同様、その抜群の音楽センスが随所に散りばめられたSo Goodなサウンドで私たちを魅了してくれるMayer Hawthorneですが、ユニットの方向性も相まってかTuxedo名義の時はソロよりもサウンド/キャラ共に濃くなっている気がします。(笑)
これは是非ライブで聴いて踊りたいですね~!
Erica Wright – 「Heartache」
この名前に覚えがない人も、その声を聴けばすぐに誰だかわかりそう。
「Erica Wright」というのは皆さんご存知のネオソウル・クイーン・Erykah Baduの本名です。(正確には「Erica Abi Wright」。)
1997年に名盤『Baduizm』で衝撃のデビューを飾る以前、彼女には本名で活動していた時期があったんですね。
人々を惹きつける歌いっぷりはこの当時から健在ですが、サウンド的にはやはり「『Baduizm』以前」という感じ。
ここから唯一無二の女王へと艶やかな変貌を遂げたErykah様、やはりタダモノじゃありませんな。。。。
The RH Factor – 「Common Freestyle」
トランペッター・Roy Hargroveが率いるプロジェクト・The RH Factor。
別名義っちゃ別名義なんですが、SOUL iNDEX読者の皆さんにはどちらかというとRoy Hargrove単独名義よりもこちらの方がお馴染みかもしれませんね。
Miles Davis、Freddie Hubbardに続く逸材としてジャズ界を賑わせたRoyが「The RH Factor」というプロジェクトの中で完成させたのは、ジャズ、ファンク、ヒップホップ、ソウル、そしてゴスペル音楽を融合した極上のネオソウルサウンドでした。
特にThe RH Factor名義での2nd『Hard Groove』ではD’angelo、Erykah Badu、Commonなど当時のムーヴメントを先導したスターたちと続々共演を果たすなどして(というか元々その界隈の人たちと仲が良かったようですね。Erykah様とRoyは同じ高校出身です)大きく注目されました。
今回ご紹介した”Common Freestyle“はその『Hard Groove』に収録されたナンバーで、タイトルにもある通り本来ラッパー・Commonがフューチャーされた楽曲。
それをこのライブではRoy本人のパフォーマンスで魅せてくれるわけですが、いやはや、ホント器用な人だな。(笑)
Loretta – 「The Wonder That You Are」
最後にご紹介するのはフランス版Amy Winehouseとの呼び声高いシンガー・Loretta!
ノスタルジックで気品のある色香と愛くるしい歌声、60’sソウルを彷彿とさせるグラマラスなサウンドで人々を魅了する彼女の作品は昨年ここ日本でも国内盤がリリースされるなど、今現在大きな注目が集まっています。
で、この人、実は元々Laure Milanというフランスではよく知られたアーティストのオルター・エゴ(別人格)という設定で登場したキャラクターなんです。(The Hustle≒Musiq Soulchildもこのパターン)
というわけでLaure Milanの楽曲も聴いてみましょう。
グッと雰囲気が変わりますね。
フランス語ってのもまたいいもんですな~。
こちらの彼女がオリジナル(?)、そして彼女の別人格にあたるのが先にご紹介したLoretta、というわけです。
さていかがだったでしょうか?
本来の活動も別名義での活動も、どちらも楽しめるなんてまさに「一度で二度オイシイ」ですよね。
最高のエンターテイナーたちに敬意を表しつつ、今日はこの辺で!
SOUL iNDEX、また次回~!