ひとつの楽曲やアルバムを完成させるためには、アーティスト本人だけではなく共に演奏するミュージシャン、更にはアレンジャー、プロデューサーなど多くの人々の力が必要となります。
そして今日活躍するアーティストたちの中には、自身の作品を作るだけでなく、時にサポートミュージシャンとして、プロデューサーとして、また時に楽曲提供者として他のアーティストの作品制作に関わる人がいるというのは皆さんもきっとご存知の通り。
ということで本日のSOUL iNDEXでは、大物アーティストがプロデューサーや楽曲提供者として手がけた他のアーティストの作品を大調査!
それぞれの魅力が絶妙に融合し生まれた様々なGOODコラボレーションをご紹介します。
それでは早速参りましょう~!
Andy Allo『Superconductor』×Prince
(↑最初に表記してあるのが手がけられた側、×の後ろのアーティストが手がけた側です。)
というわけでまずはこれまでにも何度か取り上げてきました、カメルーン出身のアーティスト・Andy Allo!
ギターに歌にとマルチな才能をみせる彼女は、我らが殿下ことPrinceのイチオシガールとしても有名です。
ということで彼女の2ndソロアルバム『Superconductor』をご紹介。
この作品は殿下の全面プロデュースの下で制作され、収録曲のうち3曲は殿下と彼女による共作となっています。
音のあちらこちらに殿下の影を色濃く感じる(笑)、潔い仕上がりと言えそうなこちらのアルバム。
今回ご紹介した曲も、これもはや殿下が歌えばいいんじゃね???とかついうっかり思いかねませんが、そこはやっぱり殿下が惚れ込んだ才女。
フレッシュでありつつここぞというタイミングで魅せる妖艶さにグッときます。
艶やかな色気、これはAndy Alloならではという気がしますね~。
この二人のコラボレーションには今後も期待です。
また昨年には、自身が率いるNew Power Generationsでコーラス隊を務めた実力派ソウル・シンガー・Liv Warfieldのアルバム『The Unexpected』でも全面監修を務めた殿下。
プロデュース業にも積極的なご様子ですね。
Jason Moran『All Rise』×Me’Shell Ndegeocello
テキサス州出身のジャズ・ピアニスト・Jason Moranが昨年リリースしたFats Wallerのトリビュート・アルバム『All Rise』。
この作品にプロデューサーとして関わったのが唯一無二の存在感で90年代以降のソウル・シーンを牽引し続けるアーティスト・Me’Shell Ndegeocelloです。
上でご紹介した”Ain’t Misbehavin’“では、彼女はシンガーとしても参加しています。
腕利きのアーティストたちによって斬新かつキャッチーにアレンジされ蘇ったFats Wallerの名曲たち。
筆者個人的には、このアルバム去年のベスト5に入るくらい好きです。
Esperanza Spalding『Radio Music Society』×Q-Tip
続いては現代ジャズ・シーンのヒロインとも言える存在感をみせるシンガー/ベーシストのEsperanza Spalding。
彼女の2012年作『Radio Music Society』はHip-Hop界の大御所・Q-Tipとの共同プロデュースで制作が進められました。
ソウルフルかつドラマチックなこのアルバムで彼女は第55回グラミー賞 Best Jazz Vocal Albumを受賞しています。
ここ数年特に騒がれるようになった現代ジャズ・シーンの大きな特徴のひとつである「ジャンルを超越したサウンドの多様性」を、この作品はいち早く体現していたような気がします。
それこそ、ジャズ・アルバムでありながら「ソウルフル」だと評してしまいたくなるほどに。
ジャズ畑のアーティストがQ-Tipのような異なる音楽的アプローチを備えたアーティストをプロデューサーとして起用したことで、サウンドの幅がぐっと広がったことは言うまでもありません。
ジャンルの壁を超越した、歴史に残る色鮮やかな名作です。
K’Naan “Bang Bang feat.Adam Levine”×Bruno Mars
Travie McCoy “Billionaire”×Bruno Mars
続いては今や世界的な人気を誇るスター・Bruno Marsが手がけた作品をふたつ続けてご紹介!
Bruno MarsはThe Smeezingtonsというプロデューサー・チームの一員としても活躍しており、今回ご紹介する二曲も同チームで制作が進められたものです。
一曲目は、ソマリア出身のラッパーK’NaanとMaroon5のヴォーカル・Adam Levineがコラボレーションした”Bang Bang“。
痛快なギラギラお祭りソング、これ結構Brunoっぽさが前面に出てますよね。
二曲目はHip-Hopとロックを結びつけたバンド・Gym Class Heroesのヴォーカル・Travie McCoyのソロ・ナンバー”Billionaire“。
こちらにはBruno本人も参加しており、全米4位を記録するなど大ヒットとなりました。
南国ムード漂う大らかで陽気なサウンドとポップかつメロウな旋律が絶妙なバランスで溶け合う良作です。
黒田卓也『Rising Son』×José James
最後は今NYの大舞台で活躍する日本人トランペッター・黒田卓也の2014年作『Rising Son』。
これを手がけたのは新世代ジャズ・シンガーの筆頭に立つ男・José James。
Joséと黒田はこれまでに何度も同じ舞台に立ってきた盟友として知られており、このプロジェクトもJoséの『No Beginning No End』のリリース・ツアー中にJoséが黒田の音源を聴き、気に入ったことがきっかけで立ち上げられたものなのだとか。
黒田の音楽性についてJoséは「タクヤの音は唯一無二なんだ。彼の音色、温かみ、ストーリーテリングの手法に、僕は何年もインスパイアされ続けてきた。タクヤが書く曲はソウルフルで、すごくモダン。ジャズとソウル、そして過去の歴史と明日を楽々と繋げてしまう力が彼の音楽にはあると思うんだよね」と絶賛したそう。
信頼し合う二人が生み出したこのアルバムはアメリカのCMJジャズチャートで一位を獲得するという快挙を成し遂げました。
さていかがだったでしょうか?
プロデュースする側・される側のアーティストたちの、いつもとはちょっと違う新たな魅力。
たまにはこんな視点で音楽を楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
ということでSOUL iNDEX、また次回~!