SOUL INDEX

Matome Article

2016年1月21日

「黒」を主張するアーティストたち。彼らが「黒」に込めた想いとは?

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巷では目の覚めるようなニュースが連日数多く飛び交い、まだ新年明けて一ヶ月も経ってないとは思えないほど味濃い目の日々が続いていますが、その中でも皆さんはどのニュースに最も心を動かされたでしょうか?

 

1月10日。
ロック界のレジェンド・David Bowieが亡くなりました。

享年69歳。肝臓がんだったそうです。

 

突然すぎるヒーローの死に対して世界は驚き・悲しみを表明し、さらにこの死が彼の最新作『★』のリリースから僅か二日後の出来事であったことも相まって大きなニュースとなりました。(ちなみに作品がリリースされた1月8日は彼の69歳の誕生日でもあったんですよね)

David Bowieの最新作にして遺作となった『★』は、共演者に現在NYで活躍する新世代ジャズ・ミュージシャンを全面起用したことでも注目を集め、彼らが生み出したサウンドは現在ジャンルの垣根を超えて世界中の音楽リスナー及びミュージシャンに聴かれています。

 

…と。ここでSOUL iNDEXが注目したいのはアルバムタイトルとなっている『★』。

★=Blackstar、皆さんはこの《Black》という響きを音楽と絡めて考えた時に何を想うでしょうか。

数多くの色が存在する中で、”Black”という時、そこにはどうしても他の色とは一線を画する背景や歴史の存在を感じる人って少なくないんじゃないかと思います。

 

今回のSOUL iNDEXでは、様々なアーティストたちの本音が見え隠れする《Black》をタイトルに持つ作品を大調査!

先ほどご紹介した『★』についても後ほど再び楽曲を交えてご紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いくださいね。

 

それでは早速参りましょう!

 

 

Esperanza Spalding – 「Black Gold」

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まずは現代ジャズ界を代表するベーシスト/ヴォーカリストのEsperanza Spaldingの2012年作『Radio Music Society』より、”Black Gold“。

 

ここ数年流行の兆しを見せるジャズを中心としたジャンル越境の動き、それをいち早く形にしたうちの一つがこのアルバムと言えるのではないでしょうか。

 

父が子ども達を学校へと迎えに行き、夕食後に黒人の偉人達の歴史を教え、やがてEsperanza Spaldingがライブをやっている街角を訪れるという見ているだけで心温まる映像を伴って聴こえてくるのは、黒人としての民族意識や誇りに対する想いです。

映像の主人公の少年に語りかけるようにして歌われる”You are black gold, black gold.”という歌詞が、温かくも確かなパワーを持って聴く者の心を揺さぶります。

 

 

Michael Jackson – 「Black Or White」

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続いてご紹介するのはMichael Jacksonの言わずと知れた名曲”Black or White“。

 

人種に対する差別や偏見を「どっちだっていい」「もううんざり」とクールに言いきってくれるMJはまさしくスターそのもの!

世界的アーティストとして幼い頃からただならぬ環境に身を置き、音楽以外の面でも数多く取りだたされ追いまわされ、苦しみ悩み続けたであろう彼が歌うからこそ痛快に響く一曲です。

 

MVに登場するマコ―レー・カルキン君(当時11歳)はもう何回観てもかわいくて堪りませんな。

 

 

Amy Winehouse – 「Back To Black」

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若くしてこの世を去ったUK出身の歌姫・Amy Winehouse

彼女の歌声は色あせることなく今でも多くの人々を虜にし続けます。

 

代表作『Back To Black』に収められたAmy節全開のこの曲における”Black”、これは「」を意図して書かれた言葉のようです。

薬物依存に苦しんだことでも知られる彼女が内側に抱えた「闇(=黒)」、それはたしかにおぞましいものであったに違いありませんが、それでも皮肉なことに一方ではそれがアーティストとしての彼女の魅力のひとつであったということもまた、否定することはできないんじゃないかなと思います。

 

 

Jose James – 「Blackmagic」

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続いては現代を代表するジャズ・シンガー・Jose James

はじめにご紹介したEsperanza Spladingと同様、伝統的なジャズにモダンな手法をミックスさせジャズの範疇を拡大してきたJoseですが、彼にとってそういった流れの中での大きな一歩となったのが、今回ご紹介した”Blackmagic“が収録された同名の2ndアルバム『BLACKMAGIC』です。

 

この曲でLAのミュージック・シーンにおける最重要人物・Flying Lotusとコラボレーションを果たしたJoseは、その他にも様々なアーティストたちと楽曲を共有し、ストイックでチャレンジングなアルバムを完成させました。

Flying Lotusはもちろんのこと、DJ Mitsu the BeatsやMoodymanなど、現代のクラブ・シーンを代表するようなブラックでソウルフルなアーティストたちが描くサウンドに乗るJoseの甘くとろけるようなヴォーカルはまさに絶品…。

 

柔軟で多彩な音楽性にも定評があるJose。
中でもこの『BLACKMAGIC』、そして『No Beginning No End』はソウル・R&Bファンにも激しくオススメしたい名盤です。

 

 

Robert Glasper Experiment – 「Black Radio feat. Mos Def」

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お次はジャズ・ピアニスト・Robert Glasperの2013年グラミー賞ベストR&Bアルバム部門受賞作『Black Radio』からラッパー・Mos Def(現Yasiin Bey)をフィーチャーしたこちらを。

 

Esperanza、Joseとジャズシンガーによるポップス、ソウルへの越境について触れてきましたが、今このムーブメントの最も中心にいるのはきっとこの人、Robert Glasperでしょう。

 

本作の中でGlasperはMos Def、Lalah Hathaway、Ledisi、Musiq Soulchild、Erykah Baduなど(Baduはこの曲の冒頭にもちょこっと参加してますね)、ネオソウル・オールスターズとでも言えそうなブラックネス全開の豪華アーティストたちを多数召集し、ジャズとソウルの壁をぶち壊すような贅沢な一枚を完成させました。

ジャズ・ミュージシャンという肩書でありながらも自身の出自である黒人文化=ソウル・ミュージックもジャズと同じように愛するGlasperにとっては「ジャズ」「ソウル」などといったジャンルなど関係ないのかもしれませんね。

 

Yasiin Beyといえば先日引退表明のニュースがありましたね。

今年中に最後の一枚となるアルバムをリリースするとか。むむむ。。。

 

 

David Bowie – 「Blackstar」

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そして最後に、偉大なるヒーローの漆黒の遺作”Blackstar“を。

リリースの2日後に亡くなったというニュースを差し引いても(100%差し引くというのも難しいですが…)、この作品に込められた鬼気迫る感情には思わず圧倒されてしまいます。

 

昨年一大センセーションを巻き起こしたKendrick Lamarの『To Pimp A Butterfly』に代表されるように、昨今多くの才能溢れる黒人ミュージシャンの台頭、ジャズからエレクトロニカまでをも巻き込んだブラック・ミュージックの進化が目立ちます。

 

いつの時代もその時その時の「最先端」を追い求めたBowieがこの流れに注目したことはまず間違いなく、『To Pimp~』を聴いた白人のBowieは、自身の新たな作品を作る上であえて白人のジャズ・ミュージシャンを多く起用し、クラシックやフォーク、聖歌といった〈白い〉ルーツのある音楽を融合させることで〈黒さ〉を徹底的に排除した独自のグルーヴ・ミュージックを創り出そうとしたのではないでしょうか。

それでいてタイトルが『★』っていうのがまた。

 

願わくば、生きているうちにこのアルバムに込められた想いを少しでいいから本人の言葉で聞きたかったなあ。

 

 

さていかがだったでしょうか?

 

皆さんはどの「黒」に、心惹かれましたか?

 

ということでSOUL iNDEX、今日はここまで!

この先あまり悲しいニュースの聞かれない一年になるといいですね。。。

 

それではまた次回~!

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